ムケ総長
このページでは、専業主婦・専業主夫という選択について考えます。
(以下では簡略化のため、男性についても「専業主婦」に統一します。)
この記事は、以下のような方にぜひ読んでもらいたいです。
- 専業主婦という生き方に自信が持てない人
- 専業主婦になりたいが、不安がある人
- 専業主婦をしていて肩身が狭い人
結論から言うと、次のように考えてみて下さい。
- 手順①:なぜ自分が専業主婦をしているのか、自分に聞いてみる
- 手順②:その答えがすらすら言えるように用意する
この手順を踏むと、生きづらさを感じることがなくなります。
この記事では、
- 20代半ばで結婚
- 専業主夫(=収入0)歴3年
- 簿記1級
の僕が、
ムケ総長
と考える理由を、経済的な観点も踏まえて解説します。

目次
専業主婦を選択する理由
専業主婦を選択している家庭には、以下のような理由があります。
- 配偶者の経済力により、生活が可能
- 投資や副業等により、収入を得ている
- 配偶者の強い希望による、家事育児への専念
- 保育園の空きがない、介護、体調不良等の理由で家庭外労働が困難
- 育児休暇を取得中
自分の選択や生き方に自信を持っている方は、何ら問題ありません。
ですが、専業主婦を選択した、 または選択せざるを得なかった方の中には、肩身が狭い思いをしている方もいます。
親族や友人、他人から

なんで働かないの?ちゃんと稼がないと!

暇じゃないの?日中何しているの?
などと言われて苦しい思いをした、何も言えなくなった、という話も聞きます。
そういった方が胸を張り、返答ができるようになればいいと思います。
まず大前提として、他人の家庭に首を突っ込み、助言や指摘(のつもり)をする人間は、完全無視で構いません。距離をとることも大切です。
人の生き方を他人に決められる筋合いなんてありません。毅然としていればいいです。
…といってもそう簡単にはいかないとも思います。
心からのアドバイスである場合もありますしね。
そこで、声に出して返事をせずとも心の中でしっかり自分の意見が言えるようになりましょう。
モヤモヤの原因は消化不足にあります。
心の中ででも問いに対して回答できれば、しっかり消化できるためモヤモヤが解消されます。
そのため、自分自身の答えや反論を持つことが大切なんです。
自慢じゃないですけど、専業主婦の方以上に、男の自分(主夫)の方が世間の風当たりは強いです。
奥さんを外で働かせて自分は何をしているんだ、という自責の念に駆られることもしばしばありました。
ですが、そんな僕でも自問自答を重ねることで、前を向けるようになりました。
僕のようにつらい思いをしている方がいるなら、一分一秒でも早く助けたい。
自分を責める必要はないよと、声をかけてあげたい。
そういう思いからこのページを書いています。
さらに今回は、ただ言葉で励ますだけでなく、具体的な思考法、対処法も伝えていきます。
自分なりの答えを持てるように、一緒に準備していきましょう。
負い目を感じる理由
まず、なぜ負い目を感じてしまうのか、考えてみましょう。
ひとつひとつ洗い出し、向き合うことが初めのステップになります。
最大の理由と言ってもいいかもしれません。
無収入の方にとっては、他人の稼ぎで生きているという事実は揺るぎないものです。
子供や家のためのお金は使えても、自分の贅沢のためにはなかなか使いにくくなります。
女性は消費活動、購買活動でストレス発散をする方も多いため、溜め込む原因にもなってしまいます。
上記に準ずる理由ですね。
社会に貢献していない、ずるいことをしている、そういった錯覚に陥ってしまいがちです。
税金を払っていないだけでなく、児童手当やこどもの医療費助成制度などの恩恵も受けています。
そのため、日本で生きていることに漠然とした後ろめたさを感じてしまいます。
真面目な方ほどこういった感覚を抱きます。
社会から離れる期間が長くなると、家庭以外に自分の居場所がなかったり、この世界に必要とされていないように感じたりすることがあります。
実はこの感覚は定年までバリバリに働いた男性の退職後にも見られる現象です。この場合、人によっては家庭内にも居場所がない、という怖い話もつきまといますが…
また、再就職への懸念も拭えません。
働きたいと思っても、社会から長期間離れたこんな自分なんて、誰も雇ってくれないんじゃないかという絶望感に襲われることもあります。
自分自身の答えを見つける
では、ひとつひとつに自分なりの答えを作っていきましょう。
これができれば、他人の声などどこ吹く風です。
経済面は、専業主婦としての生きづらさの最も大きなウエイトを占めるため、答えを出すのにもじっくりと取り組む必要があります。
逆に言えば、ここさえクリアすれば自分の現状をだいぶ楽に考えられるようになります。
少し長くなりますが、一緒に見ていきましょう。
答え探しには以下の4ステップが必要です。
- 自分にかかる出費を知る
- 家族にかかる出費を知る
- 無収入労働の内容を知る
- 自分の価値を高める
ムケ総長
まず、自分自身にかかる出費額、経費を知ります。
個人にかかる費用としては以下のようなものがあります。
- 家賃、水道光熱費
- 食費
- 日用品費
- 通信費(携帯通信料金等)
- 美容代
- 医療費
- 交際費
個人にかかるものなので、ひとりひとり金額が全く違うと思います。
そのため、他人と比較するのはほどほどに、自分と向き合うべき項目だと思います。
家賃、水道光熱費、食費や日用品費は、家計全体に占める自身の消費量等で概算しましょう。
通信費(携帯通信料金等)は、自分の携帯にかかる料金です。格安スマホならここをぐっと抑えられるので、乗り換えも検討してみてください。もちろん大手3社も値下げ競争中ですので、自分に合うプランを考えることが大切です。
美容代は、美容院や化粧品にかかる料金ですね。個人的に、女性は無理のない範囲でここにお金をかけていいと思っています。奥さんが綺麗でいたいと努力することを、男性は誇らしく思ってほしいですね。
医療費も、個人差が大きい項目です。なるべく抑えるためには、適切な睡眠、食事、運動が必要です。運動の時間を設けることが困難でも、子供と一緒に体を動かすだけで全然違いますよ。
※一点注意ですが、生活習慣病以外にかかる医療費は、ここに入れなくていいです。簿記の考え方で、自分ではどうしようもない費用を「管理不能費」と呼び、管理可能な費用とは分けて整理します。管理不能な医療費に頭を使ってもしょうがないので、全く気になさらないでくださいね!
交際費は、抑えたい人は抑えられる項目ですが、限度もあります。自分らしく生活する中で必要な交際費は、削減しないようにしましょう。
さて、以上は「使えばなくなってしまう」お金です。食べればなくなるし、美容院に行けばなくなります。
次に、個人にかかる「使ってもなくならないお金」を考えます。
例えば携帯の機種代。これは、5万円で買ったら5万円の価値の携帯が手元に残ります。
もちろん新品でなくなればどんどん価値は低下しますが、購入後すぐ0にはなりません。売ればお金になります。
そのような項目は、以下のようなものがあります。
- 携帯本体
- 衣服
これらは、買うときはお金がかかっても、その場で価値が0になるものではありません。
3,000円の服を3回着て終わるより、20,000円の服を30回着た方が、着用1回あたりの金額を抑えられます。
「元を取る」と言い換えることもできます。
つまり、使用頻度が高いものなら、丈夫で品質の良いものを購入する方が、使い捨てるより費用を抑えられるのです。
僕の家では、携帯は毎日使い、毎日子供の写真を撮るものなので、最新に近いものを購入しています。機種変更時も高値で売れるので、差額を考えれば高い買い物ではなくなります。
また洋服も数年着ているものばかりで、買い足すこともほとんどありません。
10年着れるほど丈夫なものばかりで、これからも着続けていきます。
買っては捨てるを繰り返している人は、「良いものを長く使う」ことを心がけてみてください。家計の助けになりますよ。
この「使ってもなくならないお金」に関する項目は、数年スパンで価値を測る必要のあるものです。
買ったその月だけ出費が増えますが、それが「ダメな月」になるわけではありません。
こういった項目は、いったん自分にかかる月額費用から除外して考えましょう。
正確に計算する場合は、24か月くらいで割って、月額費用に直してみてもいいですね。
5万円の携帯を購入したなら、50,000円 ÷ 24 ≒ 2,083 円ほどが月額費用になります。
もちろん、売却(下取り)時に10,000万円で売れれば、もっと費用を抑えられたことになります。
少し話がそれましたが、この辺りをスッと理解するには簿記を学ぶのが手っ取り早いです。
簿記で学んだ知識を家計簿に活かせたときは、快感を得られると思います。
学校で学んだ数学や国語と違って実生活にダイレクトに活きるので、学校の勉強が苦手だったという人も取り組みやすいかもしれません。
このブログでは「簿記5級」と題して、家計管理に特化した超入門編を解説しているので、そちらも参考にして下さい。

さて、長くなりましたが、自分にかかる月額費用を計算できましたか?
結局、この費用を上回る「価値」を家族に対して自分が生み出せているなら、個人的に黒字なんです。
個人的に黒字なら、家族や周囲に対して引け目を感じる必要は全くありません。
誰にも迷惑をかけず、価値を提供し続けているのですから、黒字経営の立派な(疑似)個人事業主です。
この後、自分が家族に与えている価値を一緒に見ていきますが、何か大きな出費をしていない限り、専業主婦の方は黒字になるはずです。ぜひ自信を持って下さい。
ムケ総長
自分の価値を測る前に、家族にかかっている出費も見てみましょう。
ここでは単純に家計簿をつけて、そこから自分にかかる費用を引いてください。
そうすると、家計に占める自分の費用の割合の低さに驚くはずです。
数字で見て納得してください。
家族にかかる費用としては、以下のものが考えられます。
- 家賃
- 水道光熱費
- 食費
- 日用品費
- 通信費
- 美容費
- 医療費
- 養育費
- 交際費
- 税金
- 社会保険料
配偶者と協力して、この家族にかかる費用を日々賄っているんです。
配偶者が外で稼いでくれているのは当然です。感謝でいっぱいです。ですが、きっと配偶者だけの力ではないはずです。
相手に感謝することと自分を卑下することは違います。
自分にかかる費用を自分の価値で賄って、家族にかかる費用を配偶者と協力して賄っている。
これを自覚できれば、負い目を感じる必要がないことに気付けるはずです。
近年、主婦の家事育児労働は、年収換算すると300万円だ!といった主張を目にすることが増えました。
「家事はタダ」と考える日本人男性が多いことが根底にあり、その思考に対して「家事代行サービスや保育士の年収と比較し、主婦業には同程度の価値がある」と反論しているわけですね。
※家事代行サービスの金額例:『r-maid』(アールメイド)

僕はこの考え方に対しては、「半分正解、半分不正解」というスタンスです。
その理由は、「機会損失の観点からは正しいが、キャッシュフローの観点からは間違っている」からです。
説明になってないですね。
要するに、「確かに300万円の価値を提供しているが、300万円の現金収入を得ているわけではない」という意味です。
当たり前のことを言っているように思えるかもしれませんが、男女共にこの共通認識を持つ必要があると考えています。
「家事はタダ問題」の落としどころとも言えます。
確かに専業主婦は以下のような労働を毎日行っており、それぞれに対価報酬を見出すなら相応の金額になると思います。
- 調理・・・・・・栄養価の高い食事を提供し、家族の健康を維持する。食生活を豊かにする。
- 清掃・・・・・・清潔に、健康に生活できる。
- 洗濯・・・・・・社会人のマナーである身だしなみを整える。
- 買い物・・・・・日用品、食料品、育児用品等の情報を集め、用意する
- 家計管理・・・・生活を持続させる。
- 育成・・・・・・育児は次世代育成、教育業務にあたる。
- 介護・・・・・・介護は本来専門職であり、かなりの重労働。
これ以外にもまだまだ家事は存在しますが、これらの業務を365日休みなく決められた時間内に完了させる大変さを「タダ」と一蹴するのはいささか暴力的ではないでしょうか。
一方で、これだけの業務をこなしても収入を得ることは不可能です。逆立ちしても無理なんです。
では、結局家事をどのようにとらえるべきなのか。
僕なりの答えは、家事は費用を削減していると考えるべき、というものになります。
一般に、家庭でも企業でも黒字か赤字かを判断するには『利益』を見ますが、利益は以下のように書けます。
利益=収入-費用
つまり、家計を黒字化するには①収入を上げる、②費用を下げる、という2通りの方法があります。
そして、収入を得るのが旦那さんの役割なら、費用を下げるのが主婦の役割になります。
家事代行サービスや保育士を利用すればかかってしまう費用を、主婦が削減しているのです。
①と②はどちらか一方ではいけないんです。収入があっても費用がかさめば利益は出ません。
夫婦で協力して両輪として家族を運営している、という共通認識を男女で持てば「家事はタダ問題」は解決します。
主婦は現金収入を得られないが、費用を削減することができる。
そのおかげで夫が収入を得ることに注力でき、結果として家族全体での利益を捻出しているのです。
ここまで具体的に自身の無報酬労働の内容を知れば、気持ちが軽くなりませんか?
参考までに、僕自身の場合
- 自炊による外食費の削減
- 清掃、洗濯による家事代行サービス費の削減
- 簿記1級の知識、税務の勉強による支出削減
- 育児による保育サービスの削減
といった価値が挙げられます。
特に家計管理について、家族の通信費や保険、家賃といった固定費の削減を積極的に行い、これだけでも毎月1万円以上の費用を減らしています。
また全ての食事が外食と自炊とでは1か月で数万円変わってきますし、清掃や洗濯の外注費も馬鹿になりません。
僕の自治体では、妻の収入に対応する1歳半の子供の保育料は約3万円です。
これらを合計すると、まぁ少なくとも毎月最低6万円ほどの価値が自分にはあることになります。
つまり、自分にかかる費用である57,000円を賄えていると言えます。
このように考えると、漠然とした不安が消えて専業主夫として存在してもいいと思えるのです。
最後は、「自身の価値を高める」になります。
上の項目で、家事=収入は得られないが費用を削減する労働、と定義しました。
この費用削減効果だけでも十分な価値ですが、これをさらに高めることで、より自分に自信が持てます。
料理や清掃が上手になったところで社会的な価値などないと卑屈になってしまいがちですが、他でもなく家族にとってはなくてはならない、替えの利かない存在になっていきます。
それは家庭内での自身の価値を高めてきたからに他なりません。
また、栄養価の高い食事を提供することで医療費を削減していたり、数人の子供を同時に保育できるようになっていたりと、削減できる費用の金額も増えていきます。
家事労働を毎日こなす中で向上しているスキルは、あなた自身の価値を間違いなく高めているのです。
ここまで力説しても、「それでも自分なんて…」と自信を持てない方もいるでしょう。
そういった方には、副業をお勧めします。
結局のところ現金収入を得られれば全ての不安や問題を根本から解決できるので、最も手っ取り早いです。これも自身の価値を高める行為です。
副業で稼げるようになれば税制上も有利になり、家計への効果は抜群です。
アルバイトやパートもいいですが、スキルアップに繋がるものを選べるとなおいいですね。
改めて、自分なりの答え探しに必要な4ステップを解説しました。
- 自分にかかる出費を知る
- 家族にかかる出費を知る
- 無収入労働の内容を知る
- 自分の価値を高める
これらをまとめると、以下の通りに説明し直せます。
自身にかかる費用を自身の価値で賄い、家族にかかる費用を夫と協力して賄う。
収入を得てくれる夫をサポートしながら、費用の削減を担うのが専業主婦の役割である。
自身の価値を高めることで、替えの利かない存在になっていく。
余裕が生まれれば、副業にも挑戦する。
この考え方により、経済的に配偶者に依存しているという感覚がかなり薄まると思います。
夫と協力して得た収入から税金や年金が引かれています。
このことから、「納めていない」という感覚は捨ててほしいというのが正直なところです。
また、同収入の共働き世帯よりも税制や保障の面で不利なことも多いため、十分国家に貢献しています。
この説明でも納得できない人には、やはり自身で収入を得ることをお勧めします。
孤独感の解消については、専業主婦同士のコミュニティが大きな助けになるかもしれません。
昔は周囲の主婦と井戸端会議をするのが普通でしたが、今はSNSやブログ等により、日本中の主婦と繋がれます。
同じ悩みを持つ人や、克服した人を探してみましょう。
再就職ができないのではという懸念については、専業主婦ならではの強みを知ることが効果的です。
専業主婦の方は、とにかく必要以上に自信を無くしている方が多いです。
でも、実は気付いていないだけで優れた点がたくさんあります。
例えば家事全般を同時並行で遂行し、トラブルに見舞われても対処し、一日のうちに終わらせる能力です。
特に子供のいる家庭では無慈悲な邪魔が入らない日がありませんが、なんとか業務を終わらせています。
大人だけの社会では決して得られない処理能力なんです。
また、専業主婦の方は「稼ぐこと」に飢えています。
何とかして社会に貢献したいという気持ちが強くなる傾向があります。
この熱意やモチベーションは、日本に一定数存在する日々を無気力に過ごすサラリーマンには決して備わらない能力です。
雇用されれば、働けることに感謝し毎日の業務を生き生きとこなしていきます。
そして仕事を楽しむ人は、圧倒的な速度で成長していきます。
僕は、専業主婦の方のほとんどがそのポテンシャルを秘めていると感じています。
働きたい、稼ぎたいという何物にも代えがたい想いを何年も蓄え、爆発のときに備えているのです。
以上のように、専業主婦ならではの強みが皆さんには必ずあります。
大丈夫です。
自分をもっと認めて、信じてあげてください。
まとめ
専業主婦としての生き方に自信を無くしている人に、自分なりの答えを探す方法をお伝えしました。
あなたはどうして専業主婦をしているのですか?この問いへの答えです。
それは、収入を得てくれる夫の補佐と、経費の削減を担うためです。
まず私の家事育児業務は、家族にとって替えの利かない価値を提供しています。
加えて私自身にかかる月額費用は〇〇万円なので、自己の価値で賄えている自負があります。
その他家族にかかる費用を、夫と協力して捻出しています。
私には物事を同時並行で処理し、予期せぬトラブルにも無難に対応する能力があります。
また、仕事を与えられれば、爆発的な熱意に裏付けされた圧倒的成長を遂げてみせます。
何か文句がありますかコノヤロー。
はい、心の中で言えましたね。
あなたは専業主婦として、これからもこのままでいて大丈夫です。
一緒に胸を張って生きていきましょう!
ではまた!
